「藤間弥斗!この近辺に逃げ込んだのは分かっているぞ!」
「!」
「…」
お姉さんの鋭い声が響く。
藤間弥斗…それが、このイケメンさんのお名前なのかな?
「罪に罪を重ねる気か!脱獄などして…っ、ことごとく指導員をダメにした貴様が世に放たれたら、世間は大混乱する!」
だ、脱獄…!?
それじゃあこのイケメンさんが、噂の大罪人さんなの…!?
ちらっと見上げると、形のいい唇と高い鼻が想像より近くにあって、またドキッと心臓が跳ねる。
切れ長の瞳は室外機の向こうを透視するように、まっすぐ前を向いていた。
「必ず刑務所にぶち込んで、今度こそ更生カリキュラムを満了させるぞ!」
「篠宮!別の場所に行くわよ!」
「チッ…はい!」
別のお姉さんの声がすると、ばたばたと沢山の足音がして、ばたんばたんと車のドアを閉める音がする。



