ウゥウゥーン
ウゥウゥーン
「「…」」
耳が痛くなるくらい、大きなサイレンが響く。
しゃがみ込んだイケメンさんの膝に座るように、体を起こされて。
お姫様抱っこの体勢のまま、室外機とイケメンさんの体の間に挟まれた。
肩に回された手が、わたしの顔まで伸びて口を塞いでいるから、声も出せないし…。
「んん…」
あの、と喋りかけると、イケメンさんはわたしに顔を寄せて、「しっ」と囁く。
耳に吐息がかかってびくりと震えれば、イケメンさんの胸に抱きかかえるように体を密着させられて、ドキリと心臓が跳ねた。
うぅ~っ、ドキドキするよぉ…!
ただでさえ薄暗い路地裏なのに、イケメンさんの体で影ができて、夜みたいに暗い…。
わたしの速い鼓動とは対照的に、イケメンさんの胸から伝わってくる鼓動はゆっくりしているし…なんだか、恥ずかしい。