その衝動を抑えきれなくなり、クララの両肩を掴んで向かい合うと真剣な目をした。
「隠していたことがある。俺の名はアドルディオン・ルシファ・バシュール。この国の王太子だ」
のどかな辺境の村で王族の話題は出ないのか、身分を明かしても首を傾げられた。
「王太子ってなぁに?」
「国王の息子。将来は俺が父の後を継いで王になる」
「えっ、アドってすごいのね!」
驚いてはいるが、ピンときていないのか少しもかしこまろうとしない。
その無邪気さがクララらしくて無礼な態度さえ愛しく思う。
「それじゃあ、アドのおうちってお城なの?」
ワクワクしている顔で問いかけたクララが急にしょんぼりとした。
「王都ってすごく遠いって、前にお母さんが言ってた。もしかして、もう会えないの?」
また会えると思い込んでいたが、アドルディオンの口から再会の約束がなかったことに気づいたような顔をしている。
たちまち目を潤ませたクララの手を取り、強く握った。
「また会えるよ。必ず迎えに来るから信じて待っていてくれ。クララを俺の妃にすると決めたんだ」
平民の娘の王家への輿入れは過去にない。
大きな反対に遭うのは必至で、それを覚悟の上でクララを娶ると決意した。
(父や重臣たちを必ず説得してみせる)
「妃って、お嫁さんのこと?」
「そうだよ」
「隠していたことがある。俺の名はアドルディオン・ルシファ・バシュール。この国の王太子だ」
のどかな辺境の村で王族の話題は出ないのか、身分を明かしても首を傾げられた。
「王太子ってなぁに?」
「国王の息子。将来は俺が父の後を継いで王になる」
「えっ、アドってすごいのね!」
驚いてはいるが、ピンときていないのか少しもかしこまろうとしない。
その無邪気さがクララらしくて無礼な態度さえ愛しく思う。
「それじゃあ、アドのおうちってお城なの?」
ワクワクしている顔で問いかけたクララが急にしょんぼりとした。
「王都ってすごく遠いって、前にお母さんが言ってた。もしかして、もう会えないの?」
また会えると思い込んでいたが、アドルディオンの口から再会の約束がなかったことに気づいたような顔をしている。
たちまち目を潤ませたクララの手を取り、強く握った。
「また会えるよ。必ず迎えに来るから信じて待っていてくれ。クララを俺の妃にすると決めたんだ」
平民の娘の王家への輿入れは過去にない。
大きな反対に遭うのは必至で、それを覚悟の上でクララを娶ると決意した。
(父や重臣たちを必ず説得してみせる)
「妃って、お嫁さんのこと?」
「そうだよ」



