巣穴の雛に餌をあげるのではなく、なぜか地面に下りたり幹に戻ったりを繰り返している。雄も辺りをうろつくばかりで様子がおかしい。
なにを気にしているのだろうとパトリシアは窓の下を覗き、「あっ」と声をあげた。
アカゲラの雛が一羽、巣穴から落ちていたのだ。
(どうしよう。自然のものには手を出すなって、子供の頃に言われたけど……)
同じ村に住む炭焼きの仕事をしている老爺が教えてくれたのだが、人が手を貸したせいでかえって巣立ちの邪魔になることもあるらしい。もしそのまま羽ばたけずに小さな命が消えたとしても、それが自然の摂理なのだから手を貸すなと言われたのを思い出していた。
老爺からの教えと助けたい気持ちの間で悩む。
(なにが正しいのかわからない。目の前の助けられる命を、見捨てていいの?)
雛はまだ小さく、巣立ちまで十日ほどかかりそうに見える。巣に戻してあげなければ、他の動物の餌になる運命だ。
おろおろしながら見つめる先で、木の根元の下草が揺れたように見えた。
蛇かもしれないと思ったら居ても立ってもいられず、せっかく作ったトマトスープをその場に置いて駆け出した。
玄関から外へ飛び出して西側に回り、急いで雛を両手ですくい上げる。
(蛇……はいないみたい)
ホッとして雛を見る。
なにを気にしているのだろうとパトリシアは窓の下を覗き、「あっ」と声をあげた。
アカゲラの雛が一羽、巣穴から落ちていたのだ。
(どうしよう。自然のものには手を出すなって、子供の頃に言われたけど……)
同じ村に住む炭焼きの仕事をしている老爺が教えてくれたのだが、人が手を貸したせいでかえって巣立ちの邪魔になることもあるらしい。もしそのまま羽ばたけずに小さな命が消えたとしても、それが自然の摂理なのだから手を貸すなと言われたのを思い出していた。
老爺からの教えと助けたい気持ちの間で悩む。
(なにが正しいのかわからない。目の前の助けられる命を、見捨てていいの?)
雛はまだ小さく、巣立ちまで十日ほどかかりそうに見える。巣に戻してあげなければ、他の動物の餌になる運命だ。
おろおろしながら見つめる先で、木の根元の下草が揺れたように見えた。
蛇かもしれないと思ったら居ても立ってもいられず、せっかく作ったトマトスープをその場に置いて駆け出した。
玄関から外へ飛び出して西側に回り、急いで雛を両手ですくい上げる。
(蛇……はいないみたい)
ホッとして雛を見る。



