国王に次ぐ権力を持っているのはもちろん理解しているが、高い身分でも優れた容姿でもなく彼の努力を尊敬した。そうすると、人となりをもっと知りたくなる。
舞踏会で求婚したアドルディオンには逆らうことを許さない絶対権力者の風格が漂っており、少々怖かった。
会う機会がもう少し増えれば、そのイメージも変えられるかもしれない。
(でもお忙しいのよね。妻に構う暇がないと仰っていたのは大げさじゃなかった。政務に勉強に毎日多くの人と交流して、暇な時間があるはずないわ。私は邪魔しないように大人しくしていないと)
初公務を思い出しながらそのように考えていたが、正面に座る叔母はまだ甥への不満を漏らしている。
「普通は妻と同じ館で暮らすものですのよ。それなのにあの子は新妻を遠ざけるような真似をして。幼い頃の人懐っこい可愛らしさはどこへ行ってしまったのかしら。すっかり冷たい大人に成長して残念ですわ。わたくしならあの子に注意できますのに……そうよ、それがいい。妻を大事にしなさいと、わたくしからビシッと言って差し上げますわ」
叔母ならすぐにでも意見しに行きそうな気がして、パトリシアは慌てて止めた。
「この離宮は本当に快適なんです。このような住まいを与えていただけて殿下には感謝しています。これ以上、なにも望みません」
紛れもない本心である。
舞踏会で求婚したアドルディオンには逆らうことを許さない絶対権力者の風格が漂っており、少々怖かった。
会う機会がもう少し増えれば、そのイメージも変えられるかもしれない。
(でもお忙しいのよね。妻に構う暇がないと仰っていたのは大げさじゃなかった。政務に勉強に毎日多くの人と交流して、暇な時間があるはずないわ。私は邪魔しないように大人しくしていないと)
初公務を思い出しながらそのように考えていたが、正面に座る叔母はまだ甥への不満を漏らしている。
「普通は妻と同じ館で暮らすものですのよ。それなのにあの子は新妻を遠ざけるような真似をして。幼い頃の人懐っこい可愛らしさはどこへ行ってしまったのかしら。すっかり冷たい大人に成長して残念ですわ。わたくしならあの子に注意できますのに……そうよ、それがいい。妻を大事にしなさいと、わたくしからビシッと言って差し上げますわ」
叔母ならすぐにでも意見しに行きそうな気がして、パトリシアは慌てて止めた。
「この離宮は本当に快適なんです。このような住まいを与えていただけて殿下には感謝しています。これ以上、なにも望みません」
紛れもない本心である。



