妃選びに失敗したなどと噂されないためかもしれないが、守られた気がしてくすぐったい喜びを味わったのだ。
それと同時に絵画研究者に引けをとらないほどの知識の深さに目を見張った。
出がけの馬車に乗る前に、彼が近侍と話していた内容を覚えていたので、なおさら驚いたのかもしれない。
『百年記念の日にちは前々からわかっておりましたが、今日というのは困りますね。こんなにもお忙しい時ですから。欠席はできないものでしょうか』
『王立の美術館に王族が出席しないわけにいかない。仕方あるまい』
『そうですが、殿下が美術品に興味がおありならまだしも……』
近侍の口ぶりから察するに、アドルディオンは美術品を鑑賞しても楽しめないようだ。
(興味がなくても、こういう時のために勉強してきたの? それなら美術品だけじゃなく、他の色々な分野についても深く学んでいそう。王太子は博識でなければいけないんだ)
子供の頃からどれだけ努力してきたのだろうと想像すると、クラム伯爵邸でのつらかった淑女教育が大したものではないような気になった。
王太子は優雅にパーティーを主催して贅沢に暮らしているだけではない。一国を動かすための指示をする立場にあるのだから賢明でなければならず、新しい知識を常に吸収し続け、頭をフル回転させているのだろう。
(王太子殿下はすごい方なんだ)
それと同時に絵画研究者に引けをとらないほどの知識の深さに目を見張った。
出がけの馬車に乗る前に、彼が近侍と話していた内容を覚えていたので、なおさら驚いたのかもしれない。
『百年記念の日にちは前々からわかっておりましたが、今日というのは困りますね。こんなにもお忙しい時ですから。欠席はできないものでしょうか』
『王立の美術館に王族が出席しないわけにいかない。仕方あるまい』
『そうですが、殿下が美術品に興味がおありならまだしも……』
近侍の口ぶりから察するに、アドルディオンは美術品を鑑賞しても楽しめないようだ。
(興味がなくても、こういう時のために勉強してきたの? それなら美術品だけじゃなく、他の色々な分野についても深く学んでいそう。王太子は博識でなければいけないんだ)
子供の頃からどれだけ努力してきたのだろうと想像すると、クラム伯爵邸でのつらかった淑女教育が大したものではないような気になった。
王太子は優雅にパーティーを主催して贅沢に暮らしているだけではない。一国を動かすための指示をする立場にあるのだから賢明でなければならず、新しい知識を常に吸収し続け、頭をフル回転させているのだろう。
(王太子殿下はすごい方なんだ)



