侯爵家に降嫁しているため王族ではないけれど、兄を見舞うためによく来城する。
それがすむとこうして離宮まで足を運び、パトリシアと面会するのだ。
叔母と会うのはこれが六度目である。
「忙しかったのかしら? 他にご予定があるなら断ってくださってもよろしいのよ」
だいぶ待たされたことへの嫌味ではない。王妹なのに偉ぶるところがなく、初対面から気さくに話してくれる気立てのいい人だ。
テーブルを挟んで向かいのソファに腰かけたパトリシアはニコリとする。
「バルコニーで本を読んでいたんです。私が居場所を伝えなかったせいで、侍女に探させてしまいました。そのせいでお待たせして申し訳ございません」
「あら、そうだったの。他に謁見者がいるのかと思ったのよ。そういう時はまたの機会にするから遠慮なく仰ってくださいね」
「お気遣いありがとうございます」
叔母の訪問はいつも事前の連絡がない。
しかし迷惑ではなく、むしろありがたいと思っている。三日に一度は必ず来るとわかっているので、他の謁見者の予約を受け付けずにすむからだ。
慣れるまで謁見は一日にひと組までにするというのがアドルディオンとの約束である。
これまで八組、二十人ほどの貴族や地位の高い市民と会ったが、叔母が一番話しやすい。
それがすむとこうして離宮まで足を運び、パトリシアと面会するのだ。
叔母と会うのはこれが六度目である。
「忙しかったのかしら? 他にご予定があるなら断ってくださってもよろしいのよ」
だいぶ待たされたことへの嫌味ではない。王妹なのに偉ぶるところがなく、初対面から気さくに話してくれる気立てのいい人だ。
テーブルを挟んで向かいのソファに腰かけたパトリシアはニコリとする。
「バルコニーで本を読んでいたんです。私が居場所を伝えなかったせいで、侍女に探させてしまいました。そのせいでお待たせして申し訳ございません」
「あら、そうだったの。他に謁見者がいるのかと思ったのよ。そういう時はまたの機会にするから遠慮なく仰ってくださいね」
「お気遣いありがとうございます」
叔母の訪問はいつも事前の連絡がない。
しかし迷惑ではなく、むしろありがたいと思っている。三日に一度は必ず来るとわかっているので、他の謁見者の予約を受け付けずにすむからだ。
慣れるまで謁見は一日にひと組までにするというのがアドルディオンとの約束である。
これまで八組、二十人ほどの貴族や地位の高い市民と会ったが、叔母が一番話しやすい。



