やっとお開きになったのは二十二時過ぎで、早く休みたいと思ったところでパトリシアだけ国王夫妻から別室に呼びだされた。
『今日はご苦労だった。疲れていると思うが、妃として夜の勤めもしっかり果たされよ』
国王から突然あられもなく初夜について言及されたため、パトリシアは驚きと恥ずかしさで顔を熱くした。
酔っているのかと疑ったが、晩餐のワインはほとんど飲んでいなかった。体調不良で途中退席もしており、病を押してわざわざからかうために呼び出したとも思えなかった。
なにも答えられずにいると、王妃が真面目な顔で言った。
『丈夫そうなお体をしているので、あなたならきっとたくさんの子供を授かれますわ。国民が安心できるように早く後継ぎを産み、王家が盤石であると示しておあげなさい』
(後継ぎ……。夜伽は不要と殿下から言われているのに)
王家存続のためには後継ぎが必要だが、アドルディオンの考えはわからない。
ただひとつ理解したのは、形だけの夫婦という約束について彼が両親になにも話していないという事実だ。
(結婚の条件についての約束は秘密にしなければいけないみたい)
エイミにはすでに話した後だったが、他の誰にも言ってはいけないのだとこの時に悟ったのだ。
考えていたため食べる手が完全に止まっていたら、そばに控えている三十代くらいのコックの男性に声をかけられる。
『今日はご苦労だった。疲れていると思うが、妃として夜の勤めもしっかり果たされよ』
国王から突然あられもなく初夜について言及されたため、パトリシアは驚きと恥ずかしさで顔を熱くした。
酔っているのかと疑ったが、晩餐のワインはほとんど飲んでいなかった。体調不良で途中退席もしており、病を押してわざわざからかうために呼び出したとも思えなかった。
なにも答えられずにいると、王妃が真面目な顔で言った。
『丈夫そうなお体をしているので、あなたならきっとたくさんの子供を授かれますわ。国民が安心できるように早く後継ぎを産み、王家が盤石であると示しておあげなさい』
(後継ぎ……。夜伽は不要と殿下から言われているのに)
王家存続のためには後継ぎが必要だが、アドルディオンの考えはわからない。
ただひとつ理解したのは、形だけの夫婦という約束について彼が両親になにも話していないという事実だ。
(結婚の条件についての約束は秘密にしなければいけないみたい)
エイミにはすでに話した後だったが、他の誰にも言ってはいけないのだとこの時に悟ったのだ。
考えていたため食べる手が完全に止まっていたら、そばに控えている三十代くらいのコックの男性に声をかけられる。



