その説明を飲み込めるまでに数秒かかる。
(これがラストダンスで、最後に踊った令嬢は私。ということは……えっ、嘘でしょ!?)
気に入られるように頑張っていたならわかるが、開始から四時間近く、ただ食べ続けていただけだ。まともに挨拶もできず、ダンスの誘いを断り、王太子妃以前に貴族女性として失格だろう。
さらには容姿が秀でているわけでもなく、クラム伯爵家よりも格上の貴族令嬢がたくさんいる中で、自分が選ばれた理由をなにひとつ思いつけなかった。
衝撃のあまりに足を止めてしまったが、強引なリードでスッテプを踏まされる。
「どうして、ですか……?」
絞り出すように問いかければ、煩わしそうに嘆息された。
「理由はふたつ。王家以外の家に権力が集中するのを避けたい。その点、クラム伯爵は現在政務の要職についていないので娘を娶っても力関係に支障はない」
つまり有力貴族ではない方がいいと考えているようだ。
エロイーズが選ばれなかったのは、ハイゼン公爵家に権力があるからこそらしい。
「もうひとつは、君が俺に興味を持たなかったためだ。妃は必要だが形だけでいい。俺は忙しく妻に構う暇がない。夜伽も不要。見たところ君は食事さえ与えていれば文句がないだろう。つまり俺の求める妻の条件に最も見合っているということだ」
ダンスを断り食べ続けていたのが決め手だったという話に面食らい、恥ずかしくも思う。
(これがラストダンスで、最後に踊った令嬢は私。ということは……えっ、嘘でしょ!?)
気に入られるように頑張っていたならわかるが、開始から四時間近く、ただ食べ続けていただけだ。まともに挨拶もできず、ダンスの誘いを断り、王太子妃以前に貴族女性として失格だろう。
さらには容姿が秀でているわけでもなく、クラム伯爵家よりも格上の貴族令嬢がたくさんいる中で、自分が選ばれた理由をなにひとつ思いつけなかった。
衝撃のあまりに足を止めてしまったが、強引なリードでスッテプを踏まされる。
「どうして、ですか……?」
絞り出すように問いかければ、煩わしそうに嘆息された。
「理由はふたつ。王家以外の家に権力が集中するのを避けたい。その点、クラム伯爵は現在政務の要職についていないので娘を娶っても力関係に支障はない」
つまり有力貴族ではない方がいいと考えているようだ。
エロイーズが選ばれなかったのは、ハイゼン公爵家に権力があるからこそらしい。
「もうひとつは、君が俺に興味を持たなかったためだ。妃は必要だが形だけでいい。俺は忙しく妻に構う暇がない。夜伽も不要。見たところ君は食事さえ与えていれば文句がないだろう。つまり俺の求める妻の条件に最も見合っているということだ」
ダンスを断り食べ続けていたのが決め手だったという話に面食らい、恥ずかしくも思う。



