(童話のお姫様みたいにきれい。みたい、じゃ失礼よね。王太子妃になられる方なんだから、今からもうお姫様と呼んでいいのかも)
三人の令嬢はお互いを褒め合い、羽根扇で口元を隠して上品に笑っている。
給仕の使用人に料理を勧められても断っており、それならばなぜ立食コーナーに来たのかと不思議に思った。
(ここが空いているから? そういえば男性が何人か来ただけで、食べている女性は私だけ。貴族令嬢は食べないの? こんなに美味しいご馳走が並んでいるのに、もったいない)
「すみません、こちらとそちらのお料理を取り分けていただけますか?」
手元の皿が空になったので給仕の使用人に声をかけたら、目の前の三人が吹き出すように笑った。
なにが面白いのだろうと会場内を見渡したが、優雅なダンスが続いているだけでなにも変化がない。
パトリシアが首を傾げたら、エロイーズの左隣に立つ女性が先ほどより声を大きくする。
「あのお噂はなんだったのかしら。どんな素晴らしいお嬢様かと思っていましたのに、私たちのライバルになりそうだなどと悪い冗談ですわ」
右隣の女性も言う。
「誰とも踊らず食べるばかりで、随分と卑しい深窓の伯爵令嬢ですこと」
(私のこと?)
ここにはひとりも知り合いがいないので、挨拶をしなければ誰も自分に気を留めないと思っていたが、父が流した噂のせいで注目されていたようだ。
三人の令嬢はお互いを褒め合い、羽根扇で口元を隠して上品に笑っている。
給仕の使用人に料理を勧められても断っており、それならばなぜ立食コーナーに来たのかと不思議に思った。
(ここが空いているから? そういえば男性が何人か来ただけで、食べている女性は私だけ。貴族令嬢は食べないの? こんなに美味しいご馳走が並んでいるのに、もったいない)
「すみません、こちらとそちらのお料理を取り分けていただけますか?」
手元の皿が空になったので給仕の使用人に声をかけたら、目の前の三人が吹き出すように笑った。
なにが面白いのだろうと会場内を見渡したが、優雅なダンスが続いているだけでなにも変化がない。
パトリシアが首を傾げたら、エロイーズの左隣に立つ女性が先ほどより声を大きくする。
「あのお噂はなんだったのかしら。どんな素晴らしいお嬢様かと思っていましたのに、私たちのライバルになりそうだなどと悪い冗談ですわ」
右隣の女性も言う。
「誰とも踊らず食べるばかりで、随分と卑しい深窓の伯爵令嬢ですこと」
(私のこと?)
ここにはひとりも知り合いがいないので、挨拶をしなければ誰も自分に気を留めないと思っていたが、父が流した噂のせいで注目されていたようだ。



