まがいもの令嬢なのに王太子妃になるなんて聞いていません!

 美麗な顔がゆっくり近づいてくると、クララの鼓動は振り切れんばかりに高鳴る。

「愛している。誰よりも……」

 吐息交じりの囁きが唇にかかって目を閉じれば、喜びに胸が震えだす音がした。

 同じ言葉を返したかったけれど、唇を奪われて声にならない。

(私も、誰よりあなたを愛しているわ)

 ふと舞踏会の夜を思い出し、王太子妃に選ばれた理由は他にある気がした。

 無意識下でまた会いたいと願う心に、彼が気づいてくれたからではないかと。

 抱きしめてくれるアドルディオンの腕に力が込められた。

『その通りだ』と言ってくれた気がして、クララは唇を合わせながら微笑んだ。



【完】

お読みくださいましてありがとうございます!久しぶりのファンタジーは楽しく書けました。読者の皆様にも楽しんでいただけますよう願っております。
我が家の次男が2歳半になりました。アンパンマンより妖怪ウォッチ好きなぽっちゃり幼児です。まだまだ手がかかり遅筆のため、次作の公開はいつになることやら…という感じです。次は現代ものの予定です。それではまたいつの日にか!皆さま元気にお過ごしくださいませ(o^^o)