(講演の話は合っているけど、海賊とは戦ってない。どうしてそんなに勇敢な妃になってしまったのかしら。でも好意的に捉えてくれて嬉しい)
照れくさいので振り向いて名乗ることはできず、急いで階段を上りきった。
母の病室は以前と変わらず特別室で、半年前と違うのは向かいの病室に入院しているのはハイゼン公爵の母親ではない別の患者という点だ。
事件後、ハイゼン公爵の母親は領地内の別の病院に移ったそうで、元気でいるのかはわからない。
ドアをノックして開けると、ソファに座っていた母が読んでいる本から顔をあげた。
「クララ、いらっしゃい。今日は早いのね」
「お仕事は午前中だけだったの。なにを読んでいたの?」
分厚い本の革表紙を見ると、冒険ものの小説のようなタイトルだった。
「そういうのが好きだったの?」
料理のレシピ本や草花の図鑑なら好みそうだけど、物語を読むこと自体が意外である。
すると母が笑う。
「看護師さんが勧めてくれたのよ。この本のヒロインが王太子妃殿下に似ているからって」
内容を聞くと、伯爵を父に持つ村娘が王太子妃になるというクララにそっくりのストーリーだった。
視察中に襲撃される事件まで起きるらしい。
しかし現実とは違い襲ってきたのは海賊で、ヒロインは剣を手に勇敢に戦って勝利するそうだ。
(さっきの妊婦さんの話は……なるほど)
照れくさいので振り向いて名乗ることはできず、急いで階段を上りきった。
母の病室は以前と変わらず特別室で、半年前と違うのは向かいの病室に入院しているのはハイゼン公爵の母親ではない別の患者という点だ。
事件後、ハイゼン公爵の母親は領地内の別の病院に移ったそうで、元気でいるのかはわからない。
ドアをノックして開けると、ソファに座っていた母が読んでいる本から顔をあげた。
「クララ、いらっしゃい。今日は早いのね」
「お仕事は午前中だけだったの。なにを読んでいたの?」
分厚い本の革表紙を見ると、冒険ものの小説のようなタイトルだった。
「そういうのが好きだったの?」
料理のレシピ本や草花の図鑑なら好みそうだけど、物語を読むこと自体が意外である。
すると母が笑う。
「看護師さんが勧めてくれたのよ。この本のヒロインが王太子妃殿下に似ているからって」
内容を聞くと、伯爵を父に持つ村娘が王太子妃になるというクララにそっくりのストーリーだった。
視察中に襲撃される事件まで起きるらしい。
しかし現実とは違い襲ってきたのは海賊で、ヒロインは剣を手に勇敢に戦って勝利するそうだ。
(さっきの妊婦さんの話は……なるほど)



