まがいもの令嬢なのに王太子妃になるなんて聞いていません!

「うん。村娘だったとみんなに知ってもらえて嬉しいの。サンターニュ村で母とふたり、一生懸命に働いていた人生も私の誇りよ。口に出せないだけで、よく思っていない貴族もいるようだけどね」

 仕方がないと思っても、少しは気にしてしまう。

 思い出しているのは二週間前のことだ。

 アドルディオンの叔母からの招待を受け、既婚女性だけのお茶会に参加した。

 真の出自が明るみに出る前は王太子妃に近づこうと数々の催しに誘ってきた貴族夫人が、その時は挨拶もしたくないとばかりにクララから遠い席に移動した。

 受け入れてくれない貴族も少なからずいるだろうと予想してはいたが、あからさまに避けられて傷ついたのだ。

 すると叔母がクララの隣に立って肩に手を置き、広い室内にいる四十人の招待客全員に聞こえるような声でこう言った。

『笑顔で握手を交わし陰ではお互いの悪口を言う、それが貴族ですのよ。そう考えると、わかりやすく避けてくださるなんて親切ですわ。今後のお付き合いをご遠慮できるのですから。妃殿下に限ったことでもございません。わたくしは陰で〝おしゃべりおばさん〟と呼ばれているそうですの。わたくしなら鼻で笑い飛ばしますけれど、妃殿下はお優しいお人柄なので無礼だとも仰られないのでしょう。代わってわたくしが成敗しておきます』

 王妹であり侯爵夫人である叔母は、貴族女性の中でも高い位にいる。