「漁船には四、五人しか乗れないので数が必要ですな。クララ、わしは漁師たちの家を回って頼んでくるから、鍵をかけて待っていなさい」
ドアへ向かおうとする神父をアドルディオンが止めた。
ホッとしているクララとは違い、その目つきは鋭い。
「お待ちください。失礼ながら、あなたは先ほど妻との会話中に〝領主様〟と言いました。協力を約束しておきながら辺境伯に知らせるつもりでは?」
「アド!?」
どこをどう見ても好々爺の神父である。
なぜ信じないのかわからず夫の腕を掴み、首を横に振った。
神父は足を止めて振り返ると、大きく頷く。目尻に皺を寄せて微笑んでおり、失礼な疑いに少しも腹を立てていないようだ。
「辺境伯領に住む者のほとんどが領主様と呼んでいます。クララもそうだったのではありませんか? それだけの理由です。私は神に祈りを捧げる身ですので、領主に仕えているつもりはありません。ご安心ください」
アドルディオンの表情は緩んだが、まだ完全には納得していない様子で厳しい視線を向けている。
神父が続ける。
「果実や小麦が不作の年や不漁が続いた時、これまで何度も村人の生活を助けてくれるよう領主にお願いしてまいりました。しかし陳情はいつもはねつけられ納税額は上がるばかり。辺境伯領の神父ならば領主の味方をすると思われるかもしれませんが、私はクララを守りたいのです」
ドアへ向かおうとする神父をアドルディオンが止めた。
ホッとしているクララとは違い、その目つきは鋭い。
「お待ちください。失礼ながら、あなたは先ほど妻との会話中に〝領主様〟と言いました。協力を約束しておきながら辺境伯に知らせるつもりでは?」
「アド!?」
どこをどう見ても好々爺の神父である。
なぜ信じないのかわからず夫の腕を掴み、首を横に振った。
神父は足を止めて振り返ると、大きく頷く。目尻に皺を寄せて微笑んでおり、失礼な疑いに少しも腹を立てていないようだ。
「辺境伯領に住む者のほとんどが領主様と呼んでいます。クララもそうだったのではありませんか? それだけの理由です。私は神に祈りを捧げる身ですので、領主に仕えているつもりはありません。ご安心ください」
アドルディオンの表情は緩んだが、まだ完全には納得していない様子で厳しい視線を向けている。
神父が続ける。
「果実や小麦が不作の年や不漁が続いた時、これまで何度も村人の生活を助けてくれるよう領主にお願いしてまいりました。しかし陳情はいつもはねつけられ納税額は上がるばかり。辺境伯領の神父ならば領主の味方をすると思われるかもしれませんが、私はクララを守りたいのです」



