前方の騎馬が剣を交えており、敵兵がひとり倒されるとすぐに後方の馬が出てまた斬り合う。
「殿下、港の方角に潜んでいた歩兵集団がこちらに向かってきます。いかがなさいますか?」
後方を見張っていた官人に言われて振り向けば、まだかなり距離はあるが黒い服装の軍勢がひと固まりとなって駆けてくる。五十人ほどはいるだろう。
(船で先回りした辺境伯の傭兵ね。ごろつきではなく傭兵ということは……)
訓練された兵が前方に十人ほどと、後方に五十人。
絶体絶命の危機が再び訪れようとしており、クララは激しく動揺した。
(アドだけは守らないと)
彼以外に王子はいないので、命を落とせば国は大混乱に陥るだろう。
それは避けなければという思いは妃としてのものだが、妻としてはただ愛する夫の命を救いたい。
(でも私では戦力になれない。どうすれば……)
腰のサーベルを抜いたアドルディオンに手綱を渡された。
「クララ、よく聞け。護衛が前方の敵を食い止めている間に、君は馬で逆方向へ逃げろ。追手がいないか確認し、村人に匿ってもらうんだ」
「アドは?」
「兵が足りない。俺は後方の敵と戦う」
(そんな……!)
今生の別れになる予感にアドルディオンのジャケットを掴んだら、力いっぱい頭を押し下げられた。
頭上で金属音がして、馬の足元に手刀が突き刺さる。
「殿下、港の方角に潜んでいた歩兵集団がこちらに向かってきます。いかがなさいますか?」
後方を見張っていた官人に言われて振り向けば、まだかなり距離はあるが黒い服装の軍勢がひと固まりとなって駆けてくる。五十人ほどはいるだろう。
(船で先回りした辺境伯の傭兵ね。ごろつきではなく傭兵ということは……)
訓練された兵が前方に十人ほどと、後方に五十人。
絶体絶命の危機が再び訪れようとしており、クララは激しく動揺した。
(アドだけは守らないと)
彼以外に王子はいないので、命を落とせば国は大混乱に陥るだろう。
それは避けなければという思いは妃としてのものだが、妻としてはただ愛する夫の命を救いたい。
(でも私では戦力になれない。どうすれば……)
腰のサーベルを抜いたアドルディオンに手綱を渡された。
「クララ、よく聞け。護衛が前方の敵を食い止めている間に、君は馬で逆方向へ逃げろ。追手がいないか確認し、村人に匿ってもらうんだ」
「アドは?」
「兵が足りない。俺は後方の敵と戦う」
(そんな……!)
今生の別れになる予感にアドルディオンのジャケットを掴んだら、力いっぱい頭を押し下げられた。
頭上で金属音がして、馬の足元に手刀が突き刺さる。



