顔を上げたパトリシアの強い眼差しに、ロベルトが怯んだように頭を引いた。不愉快そうに鼻を鳴らしてそっぽを向いたその後は、石畳を進む車輪の音だけが響いていた。
二十分ほどで王城に到着すると、巨大な城門をくぐる。
広大な前庭はうっすらと積もった雪で雪原のようだ。
城壁内には複数の建物があり、中央にそびえる尖塔を備えた大邸宅に舞踏会用のダンスホールがあると聞いた。
王族の居室や客室、謁見室に応接室、議場や政府機関も入っているそうで、重厚かつ壮大で豪奢な四階建ての邸宅である。
(こんなに大きな建物は初めて。お城に比べたら、村で暮らしていた家は物置以下だわ。本物の貴族たちが大勢いる中で、村娘の私がうまく話せるかしら)
明らかに場違いで気後れしていると、大邸宅前で馬車が止まった。
御者の手を借りて降り、玄関ホールで王城の使用人にコートを預ける。
見慣れぬ豪華さに興味をそそられたが、きょろきょろしないよう気をつけて廊下を進み、ダンスホールのある二階に上がった。
革張りに鋲を打った両開きのドアは開放されていて、嫌そうなロベルトと腕を組んで入場する。
「クラム伯爵家のロベルト様、パトリシア様がご来場になりました」
使用人男性が声をかけたのは、ハッとするほど麗しい青年貴族だ。
二十分ほどで王城に到着すると、巨大な城門をくぐる。
広大な前庭はうっすらと積もった雪で雪原のようだ。
城壁内には複数の建物があり、中央にそびえる尖塔を備えた大邸宅に舞踏会用のダンスホールがあると聞いた。
王族の居室や客室、謁見室に応接室、議場や政府機関も入っているそうで、重厚かつ壮大で豪奢な四階建ての邸宅である。
(こんなに大きな建物は初めて。お城に比べたら、村で暮らしていた家は物置以下だわ。本物の貴族たちが大勢いる中で、村娘の私がうまく話せるかしら)
明らかに場違いで気後れしていると、大邸宅前で馬車が止まった。
御者の手を借りて降り、玄関ホールで王城の使用人にコートを預ける。
見慣れぬ豪華さに興味をそそられたが、きょろきょろしないよう気をつけて廊下を進み、ダンスホールのある二階に上がった。
革張りに鋲を打った両開きのドアは開放されていて、嫌そうなロベルトと腕を組んで入場する。
「クラム伯爵家のロベルト様、パトリシア様がご来場になりました」
使用人男性が声をかけたのは、ハッとするほど麗しい青年貴族だ。



