(久しぶりと言えないのが寂しい)
故郷の地を踏み、透き通る海を見られたら十分に幸せだと思っていたが、実際に知り合いに会うと声をかけたくなってしまう。
肩を落としたら、アドルディオンが急に「止まれ」と従者たちに命じた。
「お前たちはここでしばし待て」
身軽に馬を降りた彼が、馬上の妻に向けて片手を差し出す。
「えっ?」
「知り合いなんだろ」
「声をかけていいんですか!?」
驚いて問えば、口角を上げて頷いてくれた。
「どこで生まれ育とうと君は君だ。誰にも悪く言わせないから、安心して話してくればいい」
村人から辺境伯に情報が伝わらないと判断したのかもしれないが、実際その通りだろう。
クララが村で暮らしていた時には、領主は一度も村に足を運ばなかったので顔を知らなかったほどである。
しかし心強い言葉をかけてもらえたからこそ心配せずに、帽子の鍔を上げて馬を降りることができた。
「エバンズさん!」
畝の間をまたいで駆け寄ると、顔を見た彼に仰天された。
「誰かと思えばクララか! 貴族みたいな恰好して、お供まで引き連れて、一体何がどうなってんだ?」
「久しぶりなのに驚かせてごめんなさい。実は私、王太子妃になったのよ」
「なんだって!?」
大きな驚きの声を聞きつけて、家の中や遠くの畑からエバンズ一家がやってきた。
故郷の地を踏み、透き通る海を見られたら十分に幸せだと思っていたが、実際に知り合いに会うと声をかけたくなってしまう。
肩を落としたら、アドルディオンが急に「止まれ」と従者たちに命じた。
「お前たちはここでしばし待て」
身軽に馬を降りた彼が、馬上の妻に向けて片手を差し出す。
「えっ?」
「知り合いなんだろ」
「声をかけていいんですか!?」
驚いて問えば、口角を上げて頷いてくれた。
「どこで生まれ育とうと君は君だ。誰にも悪く言わせないから、安心して話してくればいい」
村人から辺境伯に情報が伝わらないと判断したのかもしれないが、実際その通りだろう。
クララが村で暮らしていた時には、領主は一度も村に足を運ばなかったので顔を知らなかったほどである。
しかし心強い言葉をかけてもらえたからこそ心配せずに、帽子の鍔を上げて馬を降りることができた。
「エバンズさん!」
畝の間をまたいで駆け寄ると、顔を見た彼に仰天された。
「誰かと思えばクララか! 貴族みたいな恰好して、お供まで引き連れて、一体何がどうなってんだ?」
「久しぶりなのに驚かせてごめんなさい。実は私、王太子妃になったのよ」
「なんだって!?」
大きな驚きの声を聞きつけて、家の中や遠くの畑からエバンズ一家がやってきた。



