このまま予定通り視察が続くのだろうと思っていたが、夫が急にスケジュールの変更を告げた。
今日は辺境伯の案内で町を見て回るはずだったのに、先にサンターニュ村へ行くと言ったのだ。
事前にサンターニュ村への訪問も伝えていなかったようで、辺境伯は困り顔をしていた。
振り回していいのかと心配になったが、アドルディオンのことだからただの思いつきではなく、なんらかの意図があるのだろう。
『君にきれいな海を早く見せたいからだ』
本当の理由は教えてくれなかったが、妻を喜ばせたいという気持ちは嘘ではないと思うので笑顔で頷くだけにした。
(帰郷は明日まで我慢だと思っていたから嬉しい)
村までは整備されていない細道が多く、馬車ではなく馬に乗っての移動になる。
乗馬は得意だが領民たちにお転婆な妃を見せるわけにいかないので、アドルディオンの馬に一緒に乗せてもらう。
デイドレスに薄手のコート姿で鞍に横座りすると、ダークブラウンのジャケットを素敵に着こなす彼が後ろにまたがり、妻を抱きかかえるようにして手綱を握った。
色づく木々を眺めながら、馬をゆっくりと歩かせる。
「クララの方が馬の扱いに長けている。希望があれば座る位置を取り換えるが」
耳元で囁くようにからかわれ、クララは頬を染めて言い返す。
「希望しません。しばらく馬に乗っていないから今はきっとアドの方が上手よ」
今日は辺境伯の案内で町を見て回るはずだったのに、先にサンターニュ村へ行くと言ったのだ。
事前にサンターニュ村への訪問も伝えていなかったようで、辺境伯は困り顔をしていた。
振り回していいのかと心配になったが、アドルディオンのことだからただの思いつきではなく、なんらかの意図があるのだろう。
『君にきれいな海を早く見せたいからだ』
本当の理由は教えてくれなかったが、妻を喜ばせたいという気持ちは嘘ではないと思うので笑顔で頷くだけにした。
(帰郷は明日まで我慢だと思っていたから嬉しい)
村までは整備されていない細道が多く、馬車ではなく馬に乗っての移動になる。
乗馬は得意だが領民たちにお転婆な妃を見せるわけにいかないので、アドルディオンの馬に一緒に乗せてもらう。
デイドレスに薄手のコート姿で鞍に横座りすると、ダークブラウンのジャケットを素敵に着こなす彼が後ろにまたがり、妻を抱きかかえるようにして手綱を握った。
色づく木々を眺めながら、馬をゆっくりと歩かせる。
「クララの方が馬の扱いに長けている。希望があれば座る位置を取り換えるが」
耳元で囁くようにからかわれ、クララは頬を染めて言い返す。
「希望しません。しばらく馬に乗っていないから今はきっとアドの方が上手よ」



