エロイーズは王城メイドとぶつかったとしばらく思い込んでいたそうだが、ひと月ほど前に公務中のパトリシアを偶然見かけ、その時にハッと気づいたそうだ。
あの時のメイドはパトリシアだと。
変装してまで誰を見舞っていたのかを探ると、クレアという名の平民女性だった。
ただの平民が祖母と同じ特別室に入院しているのは不思議である。
それでさらに詳しく調べたところ、入院費がクラム伯爵から出されているとわかった。
なにかがおかしいと感じたエロイーズは父親に報告し、公爵家の力を使ってパトリシアの素性を調査したという。
アドルディオンが眉間の皺を深めたのは勝手に妻を調べられたためか、それとも妻が隠し事をしてせいか。
(すべてバレてしまったの……?)
パトリシアとクラム伯爵は顔色を失い、公爵とエロイーズは笑みを強めた。
「私の記憶が確かなら、パトリシア嬢はクラム伯爵と夫人の間に生まれ、一昨年まで伯爵領から出ずに大事に育てられた深窓の令嬢。クラム伯爵、そうでしたな?」
「さ、さようで……」
消え入りそうな返事に公爵が嘲笑った。
「それならばなぜ妃殿下は、入院中の平民を『お母さん』と呼んでおられるのか。病院関係者に尋ねたところ、仲のよい母娘だと言っておりましたが」
(もう、ダメみたい……)
あの時のメイドはパトリシアだと。
変装してまで誰を見舞っていたのかを探ると、クレアという名の平民女性だった。
ただの平民が祖母と同じ特別室に入院しているのは不思議である。
それでさらに詳しく調べたところ、入院費がクラム伯爵から出されているとわかった。
なにかがおかしいと感じたエロイーズは父親に報告し、公爵家の力を使ってパトリシアの素性を調査したという。
アドルディオンが眉間の皺を深めたのは勝手に妻を調べられたためか、それとも妻が隠し事をしてせいか。
(すべてバレてしまったの……?)
パトリシアとクラム伯爵は顔色を失い、公爵とエロイーズは笑みを強めた。
「私の記憶が確かなら、パトリシア嬢はクラム伯爵と夫人の間に生まれ、一昨年まで伯爵領から出ずに大事に育てられた深窓の令嬢。クラム伯爵、そうでしたな?」
「さ、さようで……」
消え入りそうな返事に公爵が嘲笑った。
「それならばなぜ妃殿下は、入院中の平民を『お母さん』と呼んでおられるのか。病院関係者に尋ねたところ、仲のよい母娘だと言っておりましたが」
(もう、ダメみたい……)



