夜伽は不要というのが結婚前の約束で、加えてアドルディオンには恋人がいる。
手を出されるはずがないと信じていても、男性と寝室をともにすること自体が初体験なので恥ずかしくてたまらなかった。
柱時計の振り子の音よりはるかに速い自分の鼓動が耳につく。
(このドキドキ、どうやったら静まるの?)
六度目の深呼吸をしようと大きく息を吸ったら隣室に繋がるドアがノックもなく開けられ、肩をびくつかせて振り向いた。
チラッとこちらを一瞥したアドルディオンが無言で入ってきてドアを閉めた。
彼も薄いシルク生地の寝間着姿で、筋肉の逞しさが否応なしに伝わる。
涼しげな印象の美貌に、銀に水色の水滴を垂らしたような髪。珍しいとまで言えない色味なのだそうだが、パトリシアが知っている限り彼と王妃しかいない。
最近では見慣れたと思っていたその髪にも新鮮な美しさを感じてしまう。
これまでの彼とはなにか違って見え、動悸がさらに加速した。
深呼吸しようと吸った息をどうしていいのか一瞬わからなくなり、むせてしまったら、冷たい印象の声をかけられる。
「風邪を引いたのか?」
そういう声質なだけで人柄が冷たいわけではないと徐々にわかってきたところなので、怖いとは思わない。
ただ、寝室で見る彼の艶やかな寝間着姿には激しく動揺していた。
手を出されるはずがないと信じていても、男性と寝室をともにすること自体が初体験なので恥ずかしくてたまらなかった。
柱時計の振り子の音よりはるかに速い自分の鼓動が耳につく。
(このドキドキ、どうやったら静まるの?)
六度目の深呼吸をしようと大きく息を吸ったら隣室に繋がるドアがノックもなく開けられ、肩をびくつかせて振り向いた。
チラッとこちらを一瞥したアドルディオンが無言で入ってきてドアを閉めた。
彼も薄いシルク生地の寝間着姿で、筋肉の逞しさが否応なしに伝わる。
涼しげな印象の美貌に、銀に水色の水滴を垂らしたような髪。珍しいとまで言えない色味なのだそうだが、パトリシアが知っている限り彼と王妃しかいない。
最近では見慣れたと思っていたその髪にも新鮮な美しさを感じてしまう。
これまでの彼とはなにか違って見え、動悸がさらに加速した。
深呼吸しようと吸った息をどうしていいのか一瞬わからなくなり、むせてしまったら、冷たい印象の声をかけられる。
「風邪を引いたのか?」
そういう声質なだけで人柄が冷たいわけではないと徐々にわかってきたところなので、怖いとは思わない。
ただ、寝室で見る彼の艶やかな寝間着姿には激しく動揺していた。



