「閉じ込めたつもりはないが……俺のせいなのか」
離宮暮らしをさせたのは、パトリシアと深い仲になるのを防ぐためだ。
将来を誓い合ったクララへの罪悪感が消えない。
立場上、妃を娶らなければならなかったが、決して愛さないと決めている。
興味のない妻と交流するのはわずらわしくもあり、しかし今は心境の変化を感じていた。
(パトリシアと話したい。おかしな誤解をされたままなのもご免だ。離宮から出してこの邸宅に住まわせるか?)
妻をそばに置きたくなったが、クララの顔が浮かんで決断できない。
『約束したのに。私に似ているから好きになってもいいと思っているの?』と責められている心地がした。
するとアドルディオンの迷いを読んだかのように、近侍が口実を与える。
「そろそろこちらに妃殿下のお部屋をご用意されてはいかがでしょう。このまま離れてお住まいでは、ご夫婦仲が悪いと噂が立つかもしれません」
「それは困るな。対外的にはうまくいっていると思わせなければならない。わかった。今後はそうしよう」
「仕方ない」とつけ足したが、鼓動は正直に高まっている。
これでパトリシアの顔を毎日見られるはずだ。
横に立っているジルフォードはホッとしたような笑みを浮かべていた。
『妃殿下に惹かれているのを素直にお認めになればいいのに』
離宮暮らしをさせたのは、パトリシアと深い仲になるのを防ぐためだ。
将来を誓い合ったクララへの罪悪感が消えない。
立場上、妃を娶らなければならなかったが、決して愛さないと決めている。
興味のない妻と交流するのはわずらわしくもあり、しかし今は心境の変化を感じていた。
(パトリシアと話したい。おかしな誤解をされたままなのもご免だ。離宮から出してこの邸宅に住まわせるか?)
妻をそばに置きたくなったが、クララの顔が浮かんで決断できない。
『約束したのに。私に似ているから好きになってもいいと思っているの?』と責められている心地がした。
するとアドルディオンの迷いを読んだかのように、近侍が口実を与える。
「そろそろこちらに妃殿下のお部屋をご用意されてはいかがでしょう。このまま離れてお住まいでは、ご夫婦仲が悪いと噂が立つかもしれません」
「それは困るな。対外的にはうまくいっていると思わせなければならない。わかった。今後はそうしよう」
「仕方ない」とつけ足したが、鼓動は正直に高まっている。
これでパトリシアの顔を毎日見られるはずだ。
横に立っているジルフォードはホッとしたような笑みを浮かべていた。
『妃殿下に惹かれているのを素直にお認めになればいいのに』



