近侍と恋仲にあるとしたら、舞踏会でアドルディオンから『妃は必要だが形だけでいい』と言われた理由に説明がつく。
加えて今朝方、エイミから聞いた王城の噂も思い出した。
『大邸宅のメイドが掃除のためにドアを開けたら、抱き合っている男性ふたりを目撃したんですって。口止め料をたくさんもらったそうです。誰と誰の密会現場でしょう? メイドの名前もわからないので調べてみます!』
(もしかしてあの噂は殿下とジルフォードさん?)
目の前ではまだふたりがヒソヒソと話している。
報告を聞いたアドルディオンが今度は近侍の耳に口を寄せて返答し、親密そうにも見える様子がパトリシアの推測を肯定しているかのようだった。
(どうしよう、おふたりの秘密に気づいてしまった)
赤い顔で動揺していたら、緊急の連絡は終わったようだ。
一歩下がって距離を取った近侍が、主君が手にしているマドレーヌに気づいた。
「殿下、そのお菓子はどうなされたのですか?」
「パトリシアの手作りだ」
一拍置いて答えた真顔の彼に、近侍が眉を寄せた。
「お気持ちはわかりますが、お待ちください。毒見係を呼んでまいります」
「えっ、毒!?」
これにはパトリシアも驚き、慌てて抗議する。
「私が殿下に毒を盛るとお考えなのですか?」
加えて今朝方、エイミから聞いた王城の噂も思い出した。
『大邸宅のメイドが掃除のためにドアを開けたら、抱き合っている男性ふたりを目撃したんですって。口止め料をたくさんもらったそうです。誰と誰の密会現場でしょう? メイドの名前もわからないので調べてみます!』
(もしかしてあの噂は殿下とジルフォードさん?)
目の前ではまだふたりがヒソヒソと話している。
報告を聞いたアドルディオンが今度は近侍の耳に口を寄せて返答し、親密そうにも見える様子がパトリシアの推測を肯定しているかのようだった。
(どうしよう、おふたりの秘密に気づいてしまった)
赤い顔で動揺していたら、緊急の連絡は終わったようだ。
一歩下がって距離を取った近侍が、主君が手にしているマドレーヌに気づいた。
「殿下、そのお菓子はどうなされたのですか?」
「パトリシアの手作りだ」
一拍置いて答えた真顔の彼に、近侍が眉を寄せた。
「お気持ちはわかりますが、お待ちください。毒見係を呼んでまいります」
「えっ、毒!?」
これにはパトリシアも驚き、慌てて抗議する。
「私が殿下に毒を盛るとお考えなのですか?」



