子どもの頃は何でも宝石みたいにキラキラして見えて、空を見上げるだけで楽しいことばかり空想することができて。ーーー恋という苦いものも知らなかった。

青いパーティードレスに身を包み、唇をグッと強く噛み締める。周りの友達は笑顔だけど、私の心は苦いものが止めどなく押し寄せて、笑顔を作る余裕すらなかった。

「ヘンリー、ジョディ、おめでとう!」

「二人ともとっても綺麗よ!」

「お似合いだな!」

「幸せになれよ〜!」

友達がそう笑顔で声をかけるのは、本日の主役である白いタキシードとドレスを着た二人。今日は友達のヘンリーとジョディの結婚式だ。そして私は今、複雑な気持ちでこの式に出席している。

(ヘンリー、何でジョディを選んだの?ジョディはあなたの話していた好みの女性とは真逆なのに……)

祝福したい。でも、ヘンリーとジョディに嫉妬している自分がいる。私はずっとヘンリーが好きだった。ジョディが彼に振り向く前から、ずっと好きだった。