萩恒希海は七歳になったばかりの公爵令嬢だ。

 小さな頃から、希海の近くには、侍女のさぎりと、叔父の崇史兄様がいた。

 大好きな二人に囲まれて、幸せ一杯の毎日だったのに、ある日、それを邪魔する人達が現れた。

 崇史兄様を、一ヶ月も遠くにやってしまう、悪い人達だ。

「さぎり、希海。直ぐ帰る」
「はい」
「早くね! 早く帰ってきてね!」
「うん。留守は任せたぞ、希海。さぎりを守れるか?」
「勿論よ! どーんとお任せよ!」
「崇史様ったら」

 胸を張る希海に、崇史は微笑み、頭を撫でてくれた。
 さぎりは困ったように笑っている。

 希海は、使命に燃えた。

(のんが、さぎりを、守るの!)