さぎりはその日、子狐と共に買い出しに出かけていた。 御影は、さぎりと子狐が二人だけで家の外に出ることを、あまり喜んでいない様子だった。 喜んでいないというよりは、心配していると言った方が正しいかもしれない。 「この辺りにもまだ慣れていないでしょう? しばらくは家の中でゆっくりしていても好いのよ」 あまりに心配症なので、さぎりは思わず頬を綻ばせる。 さぎりの元主人も、そういう人だった。