「……会って話さない事には分からない、か」



距離を置いたのは俺のくせに、なんだかんだ気にしてるのは、俺の方。

澪音に自分のペースを崩されてるのは分かっているものの、目は必死に澪音を探してしまう。

こういう放課後は、特に――



「あ……、いた」



校門を出て、少し歩いた先に、澪音がいた。

人の少ない場所でなら、一緒に帰る約束を果たせるかも……と淡い期待を抱いた。


だけど俺の目に、見知らぬ男が映る。
見る限り年上の、私服の男。



「もしかして……アレが”すみ”?」



その男は、優しそうな目で澪音を見ている。とても害を与えるようには見えない。

もしかして、澪音は俺のことを好きになるのはやめて、あの男を好きになったんだろうか。そして、付き合うことになった……とか。



「もし、そうなら……」



それで澪音が幸せなら、いい。それでいい。

俺は何も口を出さない。そんな権利もないし……


と思っていたけど――