まさか私がお見合いをさせられそうになっていて、高校卒業と同時に結婚するだなんて……。

そんな小説か漫画のような人生を歩んでいる事をふくちゃんが知ったら、どれほどビックリするだろう。


それに……


娘の私が、お父さんに反抗出来ないんだから。相談されたところで、ふくちゃんが困るだけだよ。

お父さんが持ちかけた問題なんかで、私とふくちゃんの友情が壊れるのは、絶対にイヤ。



「ありがとうね、ふくちゃん」

「ん。まあ澪音も、千秋先輩とのことがあるし。なかなか元気でないよね」

「あ、うん……」



そっか。ふくちゃんは、奏さんの「彼女もちの噂」がウソだって知らないから……。

私が失恋してるから元気ないって、そう思ってるんだ。



「ってか澪音、リボンは？　忘れるなんて珍しい」

「……っ！」


ぎゅっ


「ん？　なんで肩おさえた？　肩こり？」

「な、何でもないのっ」