と思っていたのは、私だけのようで。
奏さんは「つまり」と、お父さんの言葉を意訳した。



「覚悟があるなら節操を守れ――ということですね?」

「そうだ。澪音と会っていいと言った。が、触れていいとは言っていない。同じ屋根の下で、目の前に澪音がいて……君に我慢が出来るか?」

「(そういう事か、お父さん!!)」



全くヒドイ父親だ!
と思っていたけど。奏さんは涼しい顔で「はい」と言った。



「澪音さんと会うなと言われているわけではない。触るなと言われるより、会うなと言われる方が俺にはツライので」

「……ほう。期限は一か月。楽しみだな」




――という会議?が行われ、半月が経った。




あの日、凛々しい顔で「大丈夫です」と宣言した奏さんは……私を前に、干物になっている。