ニヤニヤと。嫌な笑みを浮かべて、一歩ずつ近寄る不良。
私はしりもちをつきながら後退するうちに、靴が片方脱げ、手の平を擦りむいてしまう。
だけど、いくらケガをしようとも……捕まるのだけは嫌だ!
「さ、触らないでください……!」
「そうも言ってられねえんだよなぁ」
そう言って、赤髪の不良が取り出したのは……ナイフ。しかも果物ナイフよりも長い刃渡り。
「それ、銃刀法違反ですよ……!?」
なんて指摘すると、もちろん。
「余裕そうじゃねぇか、嬢ちゃん」
「ならどれくらい切れるか。嬢ちゃんの制服で、試し切りをさせてもらおうか」
と、もっと窮地に追いやられる。



