静穏総長も、時には激しく愛したい

「……フン! そんな絵空事を並べても利益は生まれない。失望したぞ、純白どの。

この婚約を白紙に戻した事に関しては、重い措置を取らせてもらうからな」



すると純弥さんのお母さんは「こっちは息子を連れ去られた被害者だというのに」と文句を言った後、ニヒルな笑みを浮かべる。



「会社を動かすのも、世界を動かすのも――その真ん中にあるのは、いつだって”相手を思う心”ですよ若桜社長。それでは」



そして純弥さんのお母さんが退席した、

次の瞬間だった。



「失礼します」



静かになった部屋に響く、一人の声。

両親が目を向けると、そこには身なりをきちんと整えたイケメンと小さな子供、二人の姿。



「お初にお目にかかります。春風生吹と申します。こちらは、ひかり。

急で申し訳ないのですが、今からビジネスの話をさせていただきたく参りました」