「ねぇ、伊織。ちょっと……っていうか、かなり己惚れたことを言ってもいい?」
「どうぞ?」
「夕暮との決闘の時ですら”緊急”って言わなかったのに……。俺のお見合いを阻止するためなら、生吹は簡単に族を動かしちゃうんだ。
それってさ、なんか……
俺のこと、けっこう大事に思ってくれてるよね?」
「……ぶはっ!」
瞬間、伊織さんが吹き出した。
そして、
「そんなの、大事以外のなにものでもないだろ」
「はは、だよね!」
ハハハと大学生組が笑い合う中、美月さんは蚊帳の外。だけど……
「ふふっ」
なんだか幸せな空気が満ちた車内に、思わず目を細めて笑った。
「というか純弥先輩、今”お見合い”って言いましたっ?」
「言ってない言ってない。ねぇ伊織?」
「さぁな」



