「さすがお嬢様だよねぇ。長年一緒にいる伊織と同じこと言うんだもん。目の付け所が違うよ。
ねぇ、伊織。
俺ってこの先、大きな幸せがあると思う?」
「……」
すると伊織さんは運転をしながらチラリッと、バックミラーを見る。まるで「何か」を確認するように。
「……お前にとっての”幸せの大きさ”は測りかねるけどさ。
後ろ、見てみな」
「後ろ? ――え?」
純弥さんが、くるりと顔を後ろにやる。その瞬間、目を開いた。
だって、そこにいたのは――
「お久しぶりです、純弥先輩!」
「み、美月……?」
今まで後ろの座席に上手く身を隠していた、春風さんの彼女・美月さん。
「ばぁっ!」と両手をあげて、後部座席に姿を現す。



