あれ?と疑問に思った時、俺はこんな事を言っていて……



「今までありがとう、楽しかった」



すると睦と同じように、目から冷たくも温かいものが落ちて来た。一瞬のことだったから、それを睦が見ていたかは分からない。

だけど睦には、俺が静かに涙した事がバレている気がした。

確かに俺はいつも穏やかだけど……だけど時々、こみあげる激情にかられる男だと。もうアイツは知っているだろうから。



「あんたは、俺らを捨てていくんだ。

だから、絶対……

幸せにならねーと許さないからな、この元バカ総長ッ!!」

「……わかった」



約束する――



そう言って、俺らは互いを鼓舞するように。
互いにエールを送るように。

鋭くも優しい、そんな熱い拳をぶつけあうのだった。



*奏*end