静穏総長も、時には激しく愛したい

店の入り口に足を掛けた時、春風は「あ」と、俺へ振り向く。既に店内では、春風を見た店員や客が頬を赤く染め、目を奪われていた。



「言っておくが、夜野は俺と違って慎重だぞ。”ハイ了解”と、すぐに頷くとは限らないからな」

「……え」

「だが、アッサリと了承する時もある。アイツは、猫みたいなもんだから」



ニッと笑みを浮かべて、春風はさっさと中へ入ってしまった。去り際に、俺が電話番後をメモした紙を受け取るのを忘れずに。



「”夜野が猫”……聞くのは、これで二回目か」



地面から僅かに覗かせた好奇心が、今や新芽となって成長しているのが分かる。

夜野蒼羽――どんな奴だろう。話が分かる奴だったらありがたい。




――――その日から数日後。
夜野から連絡があり、会う事になった。

その道中で、



――純白様! お嬢様をお見掛けしませんでしたか⁉

――携帯も繋がりません!



澄という男の声が聞こえた。