「GPS発信機だ。そのリボンにでもつけておけ。ソレ、どうせ持ち主に返すんだろ?」
「……あんた、もしかして彼女にもコレを、」
言いかけて、やめた。
春風から、ただならぬ殺気が漏れたからだ。
「誰が美月にするか。美月を護衛するのも【月光】の役目だからな。
その【月光】は、そこら中にいる。GPSよりも確かな目があるんだ、そんなものに頼る必要はない」
「じゃあ、なんで俺にコレを?」
「総長が大事そうに女のリボンを持つなんて、訳アリとしか思えないだろ」
「!」
その言い方は、まるで「昔、自分も苦労した」という本音にも聞こえた。
俺が三位候補になりたての時、色んな奴から狙われたのを覚えている。
三位候補でコレだから、一位の春風なんて、建物の影から常に銃口を向けられているようなものだろう。
そんな状況下で彼女を守るなんて……言葉にできないほど大変だったに違いない。きっと春風も、過去に「訳アリ」の当事者だったんだ。
その本人から発信機を渡されることに、わずかな緊張が走る。
この発信機を使うような事件が、どうか起きませんように――そう願わずにはいられない。



