「いいですか、千秋さん。押してダメなら引いてみろ、ですよ⁉」
「あ、明里ちゃん。その話、私にも詳しく……っ」
「……帰る」
白熱するトークから、イチ抜けした俺。全員分のお金を置いて、席を立つ。
「あんたら、どうせ迎えが来るんだろ?」と、一応の確認をとって。
「あ……、生吹くんなら、そろそろ来る頃だと」
「え、でも美月さん、春風さんに連絡取ってなかったですよね? なら美月さんの居場所を知らないはずじゃ?」
「それでも、毎回なぜか落ち合えるの。不思議だよねっ」
「美月さん、それって……」
青い顔をした日向、照れくさそうに赤面した立花を最後に、店を後にした。もちろん、春風が迎えに来るまでは店の前にいるつもりで。
だけど、待つ必要は一切なかった。
なぜなら――
「お前が三位の千秋奏か」
「……そういうお前は、春風か」
店を出て、すぐ。
その男は、俺の隣りにやってきた。



