「(こんな時、なんて声を掛ければいいかな。
私は、あの時……なんて声をかけてもらいたかったっけ)」
昔からお父さんから与えられる物と言えば、肩ぐるしい大人社会の話。
――お前が高校を卒業すると同時に結婚を、と思っている
違う、ちがうんだよ。お父さん。
私はね、そんな事を話したいんじゃない。
私はただ、私の事を聞いてほしかったの。
きちんと私を見てほしかったの。
私自身のことを認めて、褒めてほしかっただけ。
そういう一言を、ずっと待っていたの――
「今まで、よく頑張ったね」
「――ッ!」
「えらい。君は立派だよ」



