「――強くなるためにしている事は何もありません。僕は何も持ってないです。むしろ欲しいものばかりです」
「ほしいもの……、例えば?」
「――あなた」
「え、」
ん⁉
男の子は私の目を見て「あなた」と言い、
私を指さして「ほしい」と言った。
え、欲しい物って、私⁉
グイッ
「春風、仕留めるなら今だ」
「そう怒るな千秋、見苦しいぞ」
私を力強く抱きしめた奏さんをたしなめながら、春風さんは「他には?」と男の子に問う。
「この女性は、残念ながら千秋のものだ。他を当たれ」
「!」
春風さんの言葉にドキリと胸が高鳴る。
”千秋のもの”って……。そうか、私、
――俺は何よりも澪音が好きで、大事だ
私って、もう奏さんのものなんだ……っ。



