静穏総長も、時には激しく愛したい


かと思えば「戦う意志はありません」と主張するみたいに、手がダランと下がる。

何を考えているんだろう?

そう思っていると、



「――いいな」

「え……」



いいな、と。
男の子は、それだけ言った。

男の子の顔は、前髪が長くて表情を読み取れない。



「(っていうか、この子……)」



改めて男の子を見ると、冬だというのに薄い長そでと長ズボンだけ。しかもボロボロで、汚れが目立っている。

髪の毛は、いつから切ってないのかってくらい伸びてて……前髪は、目を隠してしまうほど長い。


だけど、前髪の向こうにある瞳。
その瞳と、一瞬だけ目が合った。


すぐに逸らされたけど……私は見てしまう。


男の子は視力がある。
目が見えている。

だというのに、


その目には、全く光が宿っていない。

そして……なんとなく私の目と似ている気がする。