パシッ
男の子に、簡単に拳を掴まれた。
攻撃が通用しない相手に、奏さんは初めて、冷や汗を流す。
「――あなた弱いです」
「、は?」
「――こんなに恵まれているのに、なぜ弱いのですか?」
「……っ」
動揺した奏さんが一瞬だけ動きを止めた、その時だった。
「奏さんッ!!」
「あ、澪音ちゃん!」
戦闘を経て、私と距離が近くなっていた奏さん。その奏さんが目の前でやられそうになっているのを見て……
私はたまらず、手を伸ばした。
男の子が奏さんに拳を突き出す。
奏さんは目を見開いている――
その二人の間に滑り込もうと、必死に足を出した。そして男の子の目の前に、自分の体を差し出す。



