「アイツが来ちゃったか」
「へ、アイツ……?」
「うん。一度は俺もボコられた相手だよ。命からがら逃げたけどね」
「純弥さんが苦戦する相手……?」
奏さんが、痛む腕に耐えながら振り向く。そこには、一人の男の子が立っていた。
肩まで伸びた真っ黒の髪、細い手足。
背も小さくて、まだ小学生かと思うほど。
だけど、普通の小学生とはオーラが違った。とても子供が放てるような、そんな柔らかいものじゃない。
男の子から鋭い針が何本も出てるような、容易く近づいては行けない雰囲気をヒシヒシと感じる。
「……っ」
ゴクリ――
気づけば、私は生唾を飲み込んでいた。
「あの時は暗かったから良く見えなかったけど、今の攻撃を見て分かった。アイツが俺をボコったんだ。でも、まさか子供だったとはね……。
千秋くん、見た目に騙されないで!
真白がやられた相手だよ!」
「「「!」」」
「真白?」と首を傾げる私とは反対に、名前を聞いて反応する奏さん、生吹さん、夜野さん。「真白=純弥さん」と知っている人たちだ。
あの男の子は純弥さんより強いことを、瞬時に理解する。



