静穏総長も、時には激しく愛したい

「蒼羽に黙って女を連れ去った時の、あの怯えた顔は堪らなかったなぁ」

「……うるさい!」



夕暮の拳を振りほどき、足を使って攻撃する夜野さん。

その背後から、ナイフで夜野さんを攻撃しようと現れた不良を、奏さんが阻止した。

その時、



「千秋、後ろだ!」

「!?」



春風さんの声で、咄嗟に後ろに手を回した奏さん。

瞬間、ガンッと。
重い一撃が、奏さんの腕に直撃する。



「ぐ……っ!」



鉄パイプどころじゃない。
そんな生ぬるい軽さじゃない。

それはまるでボーリングの玉のような――思わず声が出るほど重量のある「何か」が、奏さんの腕に直撃した。



「奏さんッ!!」



痛みで顔を歪めた奏さんを見て、思わず叫ぶ。

だけど、私の隣にいた純弥さんが「あ~……」と。まるでマイクのボリュームを下げるように、だんだん声を落とした。