…さて。

マシュリの滞在が無事に決まり。

俺達は、ひとまずイーニシュフェルト魔導学院に帰還した。

そして早速、学院で待っていたイレースや天音、令月とすぐりに事情を説明した。

シュニィが無事に見つかったこと。そして、マシュリが説得を受け入れてくれたことも。

「…ふん。相変わらず甘い男です」

シルナがマシュリを説得したときのことを話すと、イレースはこの反応だった。

呆れ顔だったが、それ以上とやかくは言わなかった。

イレースも分かってるんだろう。シルナがこういう奴だって。

「誰も怪我がなくて良かった…」

天音は、安心したようにそう言った。

そういえば、そうだな。

シュニィが10日ばかりも行方が分からなくなって、皆気を揉んでいたけど。

最終的には一人の怪我人も出ず、全て丸く収まっている。
 
約一名、アトラスに吹っ飛ばされて鼻血を出した男がいるが。

あれはまぁ、ノーカンということで。

ここ最近暗い話題ばかりだったけど、それらを返して余りある収穫だな。

誰も傷つかず、元気で戻ってきたんだから。

今頃シュニィはアトラスと共に、久し振りに自分の家に帰っていることだろう。

そして、可愛い二人の子供達を抱き締めているんだろうな。

存分に甘やかしてやってくれ。二人共、凄く良い子だったから。

特にアイナの方。

今日ばかりは家族水入らずで、幸せに過ごして欲しいものだ。

全部丸く収まって、一件落着だな。

すると、そこに。

「…ねぇ、一つ聞きたいことがあるんだけど」

令月とすぐりが、俺の横をじっと見つめていた。

「どうした?」

「その人さー、何でここにいるの?」

と、すぐりが指差して尋ねた。

すぐりの指差す先にいたのは。

ちょこんと学院長室のソファに腰掛けて、まったり寛いでるマシュリの姿であった。

…うん。

見間違いかなーと思ったけど、やっぱり見間違いじゃなかったようだ。