2016年の終わりから2017年にかけて書いた作品
 それが『意外なあなたと愛、育みます』です。

 多様性の時代ですので、いろんな生き方があっていいよね、と私はずいぶん前から思っています。
 特に結婚や出産は人生を大きく左右しますから、30代になると悩む人も多いだろうなと。

 私が昔アルバイトしていたコンビニの店長なんですが、自分は結婚したくないんだ~って言ってたんですよ。
 でも、田舎に帰ると、「〇〇さんの息子さん、いい年齢なのにまだ結婚できないらしい。かわいそうだ」って陰口を言われるから嫌だ、って。
(ちなみに店長は顔は普通ですが高身長だったので、私の主観ですが結婚しようと思えばできたはずです(^^;))

 結婚していないと、「結婚できないかわいそうな人・ダメな男」のレッテルを貼られるのだと聞いて、とても気の毒でした。
 それを思い出して、女性だって早く結婚しろとか子供を産めと言われる人もいるだろうなと思ったんですよね。

 それに、結婚をあきらめていたり、結婚したくないなと考えていても、この先ひとりでずっと孤独に生きていくことは不安だよね、と。

 この作品のヒロイン・美衣子(みいこ)は33歳。
 彼氏もいないし結婚の予定もないけれど、寂しいから子どもを産もうと考え、選択的シングルマザーになろうと精子バンクのサイトを調べはじめます。
 それを先輩社員の響介(きょうすけ)に知られ、それなら結婚しないかと突然プロポーズされるのです。

 だけど響介には社内でとある噂が広まっていました。それが「ゲイ疑惑」
 35歳でイケメンの響介が結婚せず、女性にも興味がなさそうなのはゲイだからだと同僚たちのあいだでは騒がれていたのです。

 響介の家は名家で、母親は結婚しない息子の響介をかなり心配して、うるさいほど助言してきます。
 美衣子はゲイ疑惑を信じていたので、響介は母親を安心させるために、ゲイだということを隠して結婚しようとしているのだと受け取ります。

 老後が不安だから自分のそばにいてくれる子供がほしい、というのは単なるエゴではないかと考えた美衣子は、響介のプロポーズを受ける決意をします。
 彼がゲイだとしても、友人同士として一緒に生きていくのも悪くないと考えたからです。そこには男女の愛は存在しないとしても。

 美衣子は恋愛や結婚がどうのこうのよりも、誰かと寄り添いあいながら生きていきたい思いが強かったんですよね。
 だけど響介は違います。ずっと前から美衣子のことが好きだったからプロポーズしたんです。
 でも、彼がゲイだと勘違いされたまま物語が進んでいきます(^^;)