HAPPY VALENTINE

「お、おい!ちょっと待てよ!」

そう言う伊織を無視して、私は食堂を飛び出した。



家に帰ってすぐ、私はマッチングアプリをダウンロードして登録した。登録したアプリは広告でよく流れている有名なもの。有名なアプリなら、変な人とかいないかなと思ったからこのアプリに決めた。

「プロフィールかぁ〜……。えっと、とりあえず「学生です!映画鑑賞が大好きなので、映画好きな人と仲良くなりたいです!」でいいかな〜」

プロフィールを書き、大事なアイコンの写真を登録する。写真に選んだのは、最近撮った写真の中で一番自信のある自撮り。大好きなシリーズものの映画の公開初日に見に行った記念に撮ったもの。

「よし!登録完了!」

アプリを使えば、日本全国の人と繋がれる。これできっと恋を知って、彼氏もできるはず……!そう思っていると、ピコンと通知音が鳴った。

「あれ?もうメッセージ書かれたの!?」

登録してまだ数分しか経ってないから、驚いてしまう。ドキドキしながらアプリを開くと、「遊星(ゆうせい)」という男性からメッセージが送られてきていた。