余命宣告された私が出会ったのは、キスで寿命を伸ばすことのできる人でした。

これは夢だ。


悪い夢だ。


そう思っても現実に戻ることができなくて、大樹は頭をかかえた。


どうしてこんな場面を見せるんだ。


これはもう終わったことで、俺は十分苦しんだはずだ!


心の中で夢の内容に抗議したとき、ふと周りの空気が変わって顔を上げた。


気がつくと大樹は森の中にいた。


土と腐葉土の匂いが鼻孔を刺激して顔をしかめる。


この森には見覚えがあった。


大樹はそっと立ち上がり、手紙をきつく握りしめて歩き出した。


辛い内容が書かれている手紙だけれど、適当な場所に捨てることはできない。