充希の女慣れした余裕さが悔しくなって、思わず呟く。
すると充希はまた対抗するように悪戯っぽい笑みを浮かべて、耳元で囁いてきた。
「でもリミは、昔の子どもの僕じゃなくて、大人になった今の僕が好きでしょ?」
「なっ」
顔がかああっと熱くなる。図星だ。
抱きしめられて身動きがとれないまま、リミは必死に手をばたつかせる。
「お、大人になったって……貴方はまだ17でしょう!」
「といっても、リミとは三つしか変わらないけどね。……で、キスしていい?」
「もう! 好きにしてください!」
「え! 本当にいいの!?」
自棄になって答えたリミに、充希は心の底から嬉しそうな笑顔を見せた。
彼はきめ細かく滑らかな手でリミの頬をゆっくりと撫で、そっとあごを持ち上げた。
……その手は若干、震えていた。
「あの……」
「ん?」
「震えてません?」
「……そりゃあだって、緊張するよ。ずいぶん長いこと片想いしていた君が相手なんだから」



