疲れていたのは事実だったので、リミはお言葉に甘えて少し休憩することにした。

 ほどなくして、鷹司は湯気の立ち上るティーセットを持ってやってきた。



「どうぞ。旦那様や充希様にお出しするような上等な茶葉ではございませんが」


「ありがとうございます」



 上等な茶葉ではない、と言ったが、紅茶は十分すぎるほどに美味しかった。むしろリミが上等な茶葉を使って淹れたものより美味しい。疲れていた心身が癒されていくのがわかる。



「鷹司さんはすごいですね」



 リミはつい呟かずにはいられなかった。




「私と五つぐらいしか変わらないのに、執事としてこんなに完璧で。私、五年後に貴方のようになってる自信、ないです」


「おやおや。わたくしから見れば、奥山さんもとても優秀な方だと思いますが。ついこの前まで10代だったとは思えないほど冷静沈着ですし」


「……そう見えるだけです。実際はまだまだです」




 謙遜だった。リミは、優秀で雇う価値のあるメイドであろうと、日ごろから努力を重ねてきた。だから自分以上に優秀な鷹司に、少しコンプレックスを刺激されたのだ。