その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~

 たった一本だけで、体の中に溶けた鉛でも注がれたような重みを感じながら。 
 彼女は、リューグの心を縛るこの何十とも何百ともつかない鎖を一つ一つ、解いていくことを決めた。

 たとえ時間がどれだけかかり、どれほどの苦しみを背負おうとも……。



 それは気の遠くなるような作業だった。

 リューグに会う度、呪いの鎖を一本ずつ紐解いていく。
 最初の方はリューグに心配を掛けまいと学園にも通っていたが、途中で倒れることが多くなり、外出を止められてしまった。

 それからはほとんどを自分の部屋で過ごした。
 かつて、自分の魂が宿る前、病床にいたステイシアもこうした生活を送っていたのだろうか。
 そんな事を考えながら、よく窓の外を眺めた。

 花瓶には毎日違う花が飾られる。
 リューグは仕事と眠るとき以外はずっと彼女の傍に付き添うようになり、どんどん彼の表情は優しくなっていった。

 医者にも見せてくれたが、当然改善はしない。
 リューグはしばしばもっとちゃんと診るようにと必死に医師に頼み込んでいた。
 その心遣いが嬉しくも辛かった。