「なんでもありません。お兄様の名を穢さぬよう、学園で頑張ろうとそう決めたのです」
「ほう。流石、俺の自慢の妹だな。だが無理はするな……。お前には健康で、ずっと幸せに過ごしてもらいたいからな」

 しっかりとした大人の手が、紙安の肩を叩き元気づけてくれる。

(ごめんなさい。本当のステイシアじゃなくて……)

 でも妹を思いやるこの仮初の兄の気持ちは、今の彼女の胸には痛かった。